2007.12.13 【参議院】 総務委員会 3/3


○参考人(音好宏君) これは非常に難しい問題ではございますけれども。私、名前が非常にラジオ的な名前なものですから、ラジオに非常にシンパシーを感じておるのですが、例えば災害のときなどにラジオの媒体価値というものは非常に大事であるということはしばしば言われるところでございます。先ほどアメリカの事例でラジオは比較的早く規制緩和がなされましたよということを申し上げましたけれども、本当にラジオの価値というものがアメリカでなされたような形で緩和されていっていいのかどうなのか、これは私、非常に検討する必要があるのではないのかなというふうに思います。
 今先生の御指摘は、恐らく、言葉は悪いですけれどもラジオを捨てることによってフリーハンドになるメディア資本が出てくるのではないのかと、そのことを危惧されていらっしゃるんじゃないのかなというふうに思うんですけれども、私も、そのような形で日本の場合ラジオというものが切り捨てられていくというようなことが起こってはなかなかいけないのではないのかなというふうに思います。
 アメリカとの比較で申し上げますと、アメリカでは正にラジオの規制緩和がされる中で非常に多チャンネルのラジオというものが出てまいりました。数人でしか放送局をやっていないというようなラジオ局が圧倒的に多いわけですけれども、日本の場合、その意味でいいますとAMラジオ局は相当人数を掛け、ニュース等も割としっかりとやっている。その意味では日本の社会に合った形のラジオの在り方、それに連なる形での三事業の関係性というものが論議されるべきなのではないのかなというふうに認識しております。

○藤末健三君 それともう一つお聞きしたいのは、この三事業の支配規制が、日本の場合は省令という総務省が定められる規則でやられているわけでございますが、アメリカとかあとヨーロッパの例を見ますと、アメリカは連邦法とあと州法で規制しているという状況でございまして、放送とかメディアの規制という非常に重要なものが省令というレベル、行政機関が独自に決めるレベルで定められていることについては、先生の見解をちょっとお聞かせいただけませんでしょうか。

○参考人(音好宏君) この点に関しましても、様々議論をするべきところだと思うんですけれども、正にメディアの多様性、メディアから提供されるサービスの多様性というものをどういうふうに考えていくのかということだと思います。
 あるメディア研究者は、マスメディア集中排除原則というのはメディアの中における憲法のような存在なのであるというふうに非常に強くおっしゃる方もいらっしゃいます。憲法なのであるというふうにまで言っていいのかどうかというのは私はちょっと微妙なところもあると思いますけれども、少なくとも言論の多様性というものを担保するということにおいては十分な議論ができるような仕掛けというんでしょうか、そこは必要ではないのかなというふうに思います。

○藤末健三君 私も、先生のおっしゃいますように、メディアというのは非常に大きな力を持っておりますので、きちんとした規制の在り方などは、行政府じゃなくて、もっと広く議論されるべきじゃないかと思います。
 そして同時に、メディアの独占規制という話を先生からお聞きしますと、アメリカの事例を教えていただいたんですが、FTC、日本でいうと公正取引委員会みたいな一般産業やビジネスの独占状況を規制する組織が、アメリカでは例えばメディアなんかの独占状態を評価するという仕組みがあると聞いているんですが、その点についてもっと詳しく教えていただけないでしょうか。

○参考人(音好宏君) アメリカの場合は、先ほど私の報告の中で御紹介させていただきました連邦通信委員会というところが、FCCというところが放送、通信に関して所管をしておるわけですけれども、それとは別に、今先生から御指摘がありました連邦取引委員会、FTCも同様に放送に関して、又はメディアに関しての様々な活動に関して命令をしたりですとかというようなことがございます。
 例えば、放送に関しましては、虚偽の内容を含む広告放送に関しての監視、規制なども行っておりますし、また、日本でもしばしば報じられるかと思いますけれども、巨大メディア資本の合併などに関して、それが市場において十分な競争がなされる状況を担保できるかどうかということに関してFTCの方から様々な意見が出されるというふうなこともございます。
 その意味におきましては、FCCと並び称する形でFTCも放送に関して発言をしている、行政の仕掛けとして様々な形で関与しているというふうに言っていいかと思います。

○藤末健三君 音先生、どうもありがとうございました。やはり欧米との制度的な比較というのは、私はちょっとこの議論、放送法の議論で大事じゃないかと思っていますので、いろいろ勉強させていただき、ありがとうございました。

(中略)

○末松信介君 最後に、時間がなくなりまして、音先生にもう一言だけ。
 いろいろとお聞きをしたかったんですけれども、ローカル局、地上波デジタルの対策に相当の金が掛かって苦しいと、今のこの認定放送持ち株会社制度の導入ということによって、ある面でこれは資本的には支えられる面が出てきますけれども、しかしキー局がローカル局を支配してしまうということがあってしまうと。これによっていろいろと、先ほど申し上げられたように、地域の文化とかそういったものが発信しにくくなるし、自社の制作ができなくなってくるということなんですけれども、この点について、改めてどういう方向で持っていくべきかということの先生のお考えだけ、もう一度ちょっと述べていただいて、終わりたいと思います。

○参考人(音好宏君) 今回の新たな制度というものに関して、私は否定するものではございません。それは先ほど申し上げたとおりでございます。
 研究者として地方民放局を調べている中で、やはり今回のデジタル化ということは相当厳しい経営に対するプレッシャーになっていることは間違いないかと思います。
 もう片方で、今までの日本の民間放送は地元のやっぱり放送文化の担い手であったことも非常に間違いございませんでして、正に先ほどの上澤さんのお話にございましたとおり、地元と向き合ってどのような形で放送サービスをちゃんと提供していけるのかという、ある種の志というようなものが示されるかどうかということが非常に重要なのではないのかというふうに認識をしております。
 その意味では、この制度の運用に関して十分に議員の方々も御議論をいただきまして、地元の放送局が自分たちの番組をうまく発信できるような、そういうような形にしていただければなというふうに思います。

○末松信介君 ありがとうございました。

(後略)
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント